電動シャトルにして、園内周遊バスの交通収益が約2倍に——東南植物楽園(沖縄市)
沖縄市の東南植物楽園は、園内を巡る周遊バスを、エンジンのトラック型バスから電動シャトルに切り替えました。2024年に1台、2025年11月に2台を追加し、現在は3台体制です。導入から約1年たった2026年1月、運用の様子を同園に伺いました。
| 施設 | 東南植物楽園(沖縄県沖縄市) |
|---|---|
| 車両 | 観光シャトル DN-23(23人乗り)3台。1台目は鉛バッテリー、追加の2台はリチウムイオンバッテリー |
| 使い方 | 有料の園内周遊バス(周遊アトラクション)。日中と夜のイルミネーション時に運行 |
| 導入 | 観光促進事業の補助金を活用。外観は施設の要望に合わせて色を特注 |
導入前の課題
- エンジン音で、音声ガイドが聞き取りにくい:以前のトラック型のバスは音が大きく、流している案内が聞こえないことがありました
- 給油の手間:規制の関係で大きなタンクへの配送ができなくなり、10リットルの携行缶を何本も買いに行っていました。1回あたり1〜2時間かかり、運行が多い時期は3日に1回ほど必要でした。運転を担うのは、セカンドキャリアのパート・アルバイトの方が中心です
- 団体を受けられない:コロナ前はバス2台で団体ツアーを受けていましたが、運転手と車両が減り、団体の受け入れをやめていました
導入後に変わったこと
静かになり、案内が届くようになった
電動になってエンジン音がなくなり、音声ガイドが聞き取れないという声はなくなりました。揺れも少なく、乗っている方のストレスも減ったといいます。
便数を倍にして、乗る人が大きく増えた
1台のときは30分に1本の運行でした。3台体制(2台で運行し、1台は予備)にしてからは15分に1本に増やし、夜の便も増やしたことで、乗る人が大きく増えました。特に夜のイルミネーション時の効果が大きかったそうです。
見た目が、子どもを呼ぶ
汽車のような外観を赤・緑・青と色違いにしたことで、家族連れが入ってきた瞬間に子どもが「あれに乗りたい」と反応し、祖父母や両親を連れて乗りに来るそうです。
給油作業がゼロに
運行が終わったら充電器をつなぐだけになり、携行缶での買い出しと給油の作業がなくなりました。鉛バッテリーの1台目も、朝10時から夜10時までほぼ休みなく周回して、電池が足りなくなることはないそうです。
団体ツアーを受けられる体制に
23人乗り3台の体制で、一般のお客様を乗せながら、40名規模の団体ツアーも受けられる見込みになりました。旅行会社の団体は年配の方が多く、滞在時間も限られています。暑い中、広い園内を歩いて回ると時間が足りません。
「この時間で園内を回れます」と旅行会社に案内できれば、ツアーに組み込んでもらいやすくなり、入園そのものにつながります。同園は2026年1月の時点で、観光客の少ない時期に向けて団体予約の営業を始めていました。
料金の決め方と投資回収
- 日中は600円で乗り放題(料金は導入前から同じ)
- 夜のイルミネーション時は料金を100円上げ、1回乗車に。客が集中する時間帯でも回しやすく、値上げしても乗る人は減らなかったそうです
- 導入には補助金を活用しましたが、補助金がなくても約3年で投資を回収できる見込みとのことです(同園の見通し)
周遊バスは無料ではなく有料のため、運賃がそのまま上乗せの売上になります。さらに、団体客が来ればショップなど園内の消費にも広がります。
運用して分かった課題と、その対応
導入してすぐにすべてがうまくいったわけではありません。運用の中で出てきた声と、その対応です。
| 課題 | 対応・検討していること |
|---|---|
| 左ハンドルに慣れるまで、車体をこすることがある | ミラーの追加やバックモニターの取り付けを検討。後退は2人で行う運用に |
| アクセルの立ち上がりがエンジン車と違う | 新しい運転手には、1か月ほど先輩が同乗して教える |
| 乗り降りのステップが高い(高齢の方・子ども) | 簡易の踏み台で対応中。引き出し式のステップをメーカーと相談 |
| 沖縄の湿気で、シートにカビが出やすい | 張り替えの際に、防カビ性の高い素材に替えることを提案 |
| スコールのたびにカーテンの巻き上げが手間 | 扱いやすい方式に変更済み |
沖縄は高温・多湿で塩害もあり、国内では車両にとって厳しい環境です。こうした現場の声はメーカーに伝え、次の車両や他の施設への提案に生かしています。
同じような使い方を検討している施設の方へ
東南植物楽園のように「乗ること自体を楽しんでもらう」使い方と、駐車場から入口までを結ぶ「移動手段」としての使い方では、料金や運行の考え方が変わります。違いは次の記事で解説しています。
→ 園内の電動シャトルバスは「移動手段」か「周遊アトラクション」か
※ 数値は2026年1月のインタビュー時点の、同園による概数・見込みです。車両は園内・私有地専用で、公道は走行できません。